数学カフェ

数学カフェの活動内容をまとめます。

松本佳彦先生による微分幾何のご講演の概要


2月25日に実施予定の講演内容予告を致します!

今回は、大阪大学助教Stanford大学 visiting assistant professorの松本佳彦先生に、ご講演していただきます。皆様ふるってご参加くださいませ。


ご講演タイトル:曲率とは何か——比較定理の観点から


微分幾何学では“曲がった空間”を扱います。その“曲がり具合”を表すのが「曲率」という量です。何をもって“曲がっている”と考えるかは立場によってさまざまで、その立場に応じて多様な「曲率」がありますが、今回は、微分幾何学を代表する分野であるリーマン幾何学における「曲率」についてお話しします。

リーマン幾何学における「曲率」の定義は、ほとんどのテキストで、「レヴィ=チヴィタ接続」(「リーマン接続」とも呼ばれる)による共変微分の非可換性を表す量として与えられます。定義としてはそれが手っ取り早い。ですが、数学を味わう上では、その幾何学的な自然さを多面的に理解する必要があります。「曲率」のそういった理解に向けて、今回は「比較定理」を取り上げたいと考えました。これはリーマン幾何学特有のもので、私には、これこそがリーマン幾何学の華やかな発展を支えている存在であるように思われます。

「比較定理」の「比較」とは、異なる曲がり具合を持つ空間との「比較」です。「比較定理」によって、球面、ユークリッド空間、双曲空間という3つの空間について詳しく知っていれば、それだけで他の多様な空間についてなにがしかのことが結論できる仕組みになっています。基本的なスローガンは「曲率が大きいほど空間は(局所的には)小さくなる」です。

一口に比較定理と言ってもいろいろあるのですが、私たちが扱うのは最も基本的な「ラウチ(Rauch)の比較定理」です。そしてそれに基づき、「ボンネ(Bonnet)の定理」と「カルタン(Cartan)・アダマール(Hadamard)の定理」がいかに自然なものであるかを見たいと思います(前者は普通「ボンネ・マイヤース(Myers)の定理」と呼ばれる定理の一部)。さらに、カルタンアダマール多様体無限遠境界とその幾何について、少しだけ議論するつもりです。

ご講演者:松本佳彦先生

大阪大学助教/ Stanford大学 Visiting assistant professor
ご専門は微分幾何学・多変数複素関数論。

Yoshihiko Matsumoto

ハーディ著『ある数学者の弁明』 松本さんによる私家版翻訳です。

ハーディ『ある数学者の弁明』私家版翻訳

予習について

本題に入るための前提として、リーマン幾何学の基礎的概念(多様体、接ベクトル空間、リーマン計量、測地線)が必要になります。初めの1時間ほどをそういったことの説明に充ててくださる予定ですが、いくらか予習してきてくださると、より楽しめると思います。

数学カフェでは松本先生のご講演に際し、上記の項目について12月から予習会を実施します。

12月中は多様体の基礎、1月以降は幾何学的変分問題をテキストにします。

こちらもぜひふるってご参加くださいませ。

第一回12月3日:

connpass.com

第二回12月9日:

connpass.com

第三回12月16日:

connpass.com

1月以降の予定はまた追って御連絡いたします。

 

お申込みについて

申込みは一ヶ月前を目処に開始致します。
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にて告知いたしますのでご覧くださいませ。